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[レビュー]ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 露出を極める

2020-08-03

写真を趣味としていながら、まだまだ初心者の私の目線で、根強い人気を誇る「ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 露出を極める」をご紹介します。

基本情報

タイトル:ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 露出を極める
作者:ブライアン・ピーターソン(Bryan Peterson)
訳:武田正紀、関利枝子
出版社:日経ナショナルジオグラフィック社
価格:2,640円(書籍版、消費税率10%)

Amazonの評価 57件で星4.2/5.0(2020年8月時点)

日本語版の発売日は2013年で、英語原文の「露出を極める」は2010年に書かれています(原題は「Understanding Exposure」なので、「極める」と訳すのは少し言い過ぎの様な気もします)。

2010年版の英語版を元にしていることから、市場では(特にプロ向けでは)比率が多かった一眼レフを使用した作例がほとんどで、昨今のミラーレスカメラを使用している場合には必ずしも参考にならない項目もあります(後述)。ですが、目的とする露出の学習として、大いに参考になる本であることに変わりはありません。

更に言えば、初代のUnderstanding Exposureは1990年発行で、2010年に発行された第3版まで、20年近い歴史、実績がある本だとも言えます。

この本で得られること

内容は初心者~中級者向けです。

露出設定の基本的なこと+α

タイトルに「露出を極める」とある通り、写真を撮る際にどういった考え方で露出(=絞り、シャッター速度、ISO感度の組み合わせ)を決めればよいかについて、筆者の考え方が書かれています。

場面をいくつかに分類することで、各種設定値を決めやすくする手助けがあり、これがかなり参考になります。
例として絞りの観点では、3つの場面(目的)に合わせてF値をグループ分けしてくれます。

写真によっては、同じ構図で露出を変更して撮影し、効果を比較したものもありわかりやすいです。

同シリーズに「構図を極める」があることもあってか、この本には構図に関する情報はほとんどなく、あくまで「露出」に焦点を定めて書かれています。

実践的な撮影情報が豊富

ほとんどの写真に、基本的な撮影情報が付されています。
・撮影焦点距離(レンズの詳細な型番は不明です)
・シャッター速度
・ISO感度
・絞り

加えて、各場面でどのような考えで露出を決定したかが書かれていて、その点から学ぶことが多くあります

例として、どういう状況で、(何を目立たせるために)どこにピントを合わせて、(どこまでピントを合わせるために)どんな理由でこの絞りを設定したか、などが書かれており、とても参考になります。

絞り設定値の一般論にとらわれず、表現の幅を広げてくれる

一般的に、絞りの設定値はレンズの開放F値からF22, F32など(レンズにより異なる)まで設定できます。このうち写真雑誌や教本では、開放~F8、F11(レンズの解像度が最も高くなる値)を使用した作例がほとんどです。

この本では、最も解像度が高いF値がF8、F11などであることを認めた上で、必要に応じてそれ以上のF値も積極的に使うことを推奨しており、この考え方に納得できれば、読者の写真表現の幅が大きく広がります。実際に、本の中にはF22を使用した作例が豊富に含まれています。もちろんこれは、シャッター速度を遅くする目的ではなく、被写界深度を広げる目的での使用です。Amazonのレビューでも、この点に言及してプラス評価しているものが多くありました。

一般的に、フルサイズよりも小さなセンサーのカメラに向けたレンズにおいても、最も解像度が高いF値はボケ量の観点でフルサイズとF8~11程度と同等の値であることが多いです(つまり、APS-CならF5.6~F8、m4/3ならF4~F5.6)。
このため、例えばm4/3のレンズでは使用範囲が開放~F4(またはF5.6)まで限定されていることになります。この本の考え方を取り入れれば、必要に応じて(フルサイズのF22と同じボケ量となる)F11やそれ以上の値を使用できる心の余裕が生まれます。

私自身も、これまでは解放F値~(フルサイズ換算で)F8程度までしか使用していなかったのに対し、撮影シーンに応じてF22などを使用することも考慮に入れられる様になり、表現の幅の広がりを感じています。

※ただし、小さなセンサーのカメラでは、開放側でフルサイズと同等のボケ量を得られるF値を設定することが不可能な場合が多い点には変わりなく、永遠にフルサイズへの憧れは続きます(笑)

注意点

注意というほどでもないですが、気になった点です。

この本では基本的には「フルサイズ(35mm判)」の「一眼レフ」(ミラーレスではない)を使用した作例がほとんどなので、自分が使用するカメラのセンササイズに合わせた換算や読み替えをする必要があります。

フルサイズ(35㎜判)への換算が必要

この本を読む上で理解する必要がある用語に「焦点距離」と「絞り」があります。
焦点距離、絞りの設定値が写真演出に大きな効果をもたらすのですが、同じ値を設定した場合でも、撮影するカメラのセンサの大きさによって、効果の大きさが異なります。

例えば、フルサイズで「焦点距離50mm、F4.0」と設定した作例がある場合、おおよそ同じ画角、ボケ効果を得るためには、次の焦点距離と絞りを設定する必要があります。

APS-Cの場合:33㎜程度、F2.8 ※焦点距離、絞り共に1/1.5
m4/3の場合:25㎜、F2.0 ※焦点距離、絞り共に1/2

知っている方にとってはごく当たり前のことですが、最低限、このことを理解しておく必要があります。

また、フルサイズフォーマットに比べて「ぼかし」表現をする上で不利なAPS-C、m4/3(マイクロフォーサーズ)フォーマット使用者にとっては、時として同じ条件の実現が難しい場合があります。フルサイズ換算F2.8相当のぼかしを得るためには、APS-CでF2、m4/3でF1.4など、高価なレンズ(存在しない可能性もあります)を用意する必要があるためです。

ミラーレス一眼(レフ機ではない)を使用する場合に実用的ではない情報もある

一眼レフカメラでは、光学ファインダーを使用しています。ファインダーを覗いたときに見える像は、カメラの設定露出には影響を受けないため、ほとんど肉眼と同じ明るさになります。
一般的なPモード、A(Av、絞り優先)モード、S(Tv、シャッター速度優先)モードは、「カメラ側で判断した適正露出」に合わせてシャッター速度、絞りなどが自動設定されるのですが、これは映っている映像の色等によって影響を受けるため、その傾向を知っておかないと、撮影した写真を見たときに「思ったより明るい(暗い)」と感じることが多くあります。

対してミラーレスカメラでは、液晶ビューファインダー(EVF)、または背面液晶を使用しており、基本的にはファインダーを覗いたときに見える像はカメラの設定露出の影響を受けます
選択した絞り、シャッター速度に合わせてダイレクトに画面の明るさが変わりますので、撮影する前に明るさを調整することになることから、上記した一眼レフカメラの様な問題(思ったより明るい、暗い)が起こりにくいです。

この本では一眼レフカメラが主流だった時代に執筆されているため、撮影対象に合わせた露出補正値の設定方法についても詳細に書いています。この部分が、ミラーレスカメラを使用している方にとって不要な情報になってしまう可能性があります。

購入はKindleがお勧め

書籍版の正規価格2,640円は高めですが、Kindle(Amazon)でたまに安くなっているのでお勧めです。
私が購入した時は1,296円でした。半額以下とお得で、場所も取りません。
セールの度に覗いてみることをお勧めします。

美しい写真が沢山入っていますが、一般的な写真集(作品集)とは違い、後から何度も眺めて楽しむタイプの本ではありませんので、中古の書籍でも問題ないかもしれません。

Kindle版の使用感

Kindle版では9.7インチのタブレットを使って読んでいますが、見開き(2ページ)で読んでも文字が潰れて読めなくなったり、小さすぎることはありませんでした(使用したタブレットの解像度は2048×1536)。
もちろん、任意の場所で拡大して読むことも出来ます。

参考に、少し解像度が低いディスプレイ(1800×1200)で見開きフルスクリーン表示したときに、撮影情報を記載した文字をスクリーンショットして切り抜いたのが下の画像です。
最低限、読める文字になっていますし、本文はもう少し大きい文字が使用されているので、ストレスなく読むことができます。

ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 露出を極める Kindle版 P.11より

Kindle版の良い点

・見出しへのジャンプ機能がある

Kindle版、フルスクリーンで、見出しを表示したところです(写真に「ぼかし」をかけています)。
目次に連動した見出しが付いており、瞬時に目的の場所に飛ぶことができます。

Kindle版のいまひとつな点

・中身の文字列を検索することができない

目標の絞り値(F2.8など)で作例を検索したいところですが、できません。(せっかくの電子書籍なのに・・・)

・上下に不要な帯が入っていて、画面いっぱいに表示できない

下の画像は、WindowsのKindleで表示した見開きフルスクリーン表示した例です(写真に「ぼかし」をかけています)。書籍のデータ自体が上下に黒帯を含んでいるため、その縦の長さに合わせて拡大表示されてしまい、結果として左側にも「画面の余り」である黒帯が出てしまっています。せっかくフルスクリーンにしたのに効果が薄れ、少しストレスを感じる方もいると思います。

まとめ

少し金額が高いので購入を悩みがちなのですが、写真撮影の露出設定での迷いを解消するのに役立つ良本だと思います。

同じ様に購入を悩んでいる方のご参考になりましたら幸いです。
(Amazonのレビューもとても参考になります)

この他に、同じ作者の実践編、「ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 実践の露出」も販売されています。

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