台湾で中華電信のトラベラーズSIM(eSIM/物理SIM両方あります)を使用したら、通信量、速度を気にしないストレスフリーな期間を過ごせたのでご紹介します。
簡単なまとめ
台湾で大手キャリア 中華電信のトラベラーズSIM(4G)を使用した結果のご紹介です。買える場所などについてもご紹介します。
中華電信のトラベラーズSIM(4G通信)は次の理由からお勧めできます。
・通信量無制限 / テザリング無制限
・4Gでも高速(DL 40 Mbps以上で安定、速いときは200 Mbps超)
・予約不要(空港で飛び込み購入可)
テザリング制限がないことから、5Gより4Gがおすすめです。(2023年7月時点、5Gはテザリング通信量に制限あり)
中華電信のSIMについて
今回ご紹介するのは、中華電信のトラベラーズSIM(旅行者向けの期間限定プリペイドSIM)です。
一部の携帯キャリア(ahamo、楽天モバイルなど)を除き、海外で携帯電話を使用する際には、現地向けの契約をしたSIM/eSIMに切り替える必要があります。
これまでは、Amazonなどで事前購入した通信容量制限付きのプリペイドSIMを使用していました。
基本的にはこれで問題ないのですが、以前、宿泊先のWi-Fiの繋がりが悪く、苦労することがありました。
(宿泊先で十分な速度が出るWi-Fiが提供されている前提でプリペイドSIMの通信容量を決める方も多いはず)
いろいろなプリペイドSIMを調べてみると、トラベラーズSIMの中には通信容量無制限の商品もあるのですが、多くの場合はMVNOのもので、「1日2GBを超えると256kbpsに速度低下」(それは無制限じゃない様な?)などの記載があり、あまり意味を感じません。
※下記リンクは残念な例として貼っています。大きくロゴが表示されているのでMNOの様に見えますが、MVNOで、通信制限あり。
そこで選んだのが、(MVNOではなくMNOの)中華電信。
調べてみると、台湾ではMNOであれば通信量無制限、速度制限なしのSIMを販売していることがわかりました。
中華電信のトラベラーズSIM 料金プラン
中華電信(ChungHwa Telecom)は、台湾最大の携帯キャリアです(日本で言うNTTドコモ)。
中華電信が提供しているeSIMを見ると、次の種類がある様です。
5G:3/5/7日
通信量無制限、テザリング3GBまで、通話料無料分あり(日数による)
4G:3/5/7/10/15/30日
通信料無制限、(テザリング制限の記載なし)、通話料無料分あり(日数による)
簡単な比較表は次の通りです。(2024年1月確認時点)
4G/5G | 日数 | 通信料 | テザリング制限 | 通話料無料分(台湾ドル) | 金額(台湾ドル) |
5G | 3 | 無制限 | 3GB | 50 | 500 |
5 | 5GB | 100 | 600 | ||
7 | 5GB | 150 | 800 | ||
4G | 3 | 記載なし | 100 | 300 | |
5 | 50 | 300 | |||
7 | 150 | 500 | |||
10 | 100 | 500 | |||
15 | 100 | 700 | |||
30 | 430 | 1,000 |
※4Gで日数が異なるのに金額が同じプランは、無料通話料金が異なります
やっぱり気になるのは、5Gにテザリングの容量制限があるところです。
それに対し、4Gではテザリングの容量制限について記載がありません。(おそらく無制限であることを検証しています)
費用も、3日間では5Gが500台湾ドルに対して4Gでは300台湾ドルと、4Gの方が割安である様です。
※2023年8月現在、1台湾ドルは4.5円程度。500台湾ドルは約2,250円。300台湾ドルは1,350円。
ということは、
・4Gでも十分な速度が出る
・テザリング無制限
という条件が揃えば、4Gを選んだ方が得ではないでしょうか。
むしろ、テザリング無制限な分、4Gの方が使いやすいとも言えるかもしれません。
参考:台灣大哥大、遠傳電信のトラベラーズSIM
参考:台湾1位の携帯キャリアは中華電信ですが、2位は台灣大哥大、3位は遠傳電信です。それぞれのトラベラーズSIMも確認しましたが、いずれも5Gはテザリングデータ量制限あり、4Gは制限なしの様です。(いずれも2023年8月確認)
台灣大哥大のトラベラーズSIM
遠傳電信のトラベラーズSIM
※台北の空港のうち、桃園国際空港では中華電信、台灣大哥大、遠傳電信すべてのSIMカウンターがありますが、松山空港では中華電信のみSIMカウンターがあります。
通信周波数
SIMを切り替える前に、使用しているスマートフォンが中華電信の通信周波数に対応しているか確認する必要があります。
Wikipediaで調べた中華電信の通信周波数はこちら。
下記は2023年8月時点の確認結果です。
4G : 2100(B1)/1800(B3)/2600(B7)/900(B8) MHz
5G : 2100(n1)/3500(n78)/28000(n257) MHz
4Gの2100(B1)/1800(B3)が日本の3台キャリアと同一なので、日本で使用できるスマートフォンの場合、問題なく繋がる可能性が高いと思われます。
(2600(B7)は日本の対応キャリアなし、900(B8) MHzはソフトバンクのみ対応)
例として、iPhone SE(第2世代、俗に言うSE2)の場合は、上記の4G周波数すべてに対応している様です(5Gは端末自体が非対応)。
これを考えると、現行品、またはSE2と同時期のiPhone(iPhone SE3、iPhone X、11、12、13、14シリーズなど)であれば、問題なく4Gに繋がると考えて良さそうです。
ちなみに私は今回Google Pixel7で問題なく使用できています。
参考:台灣大哥大、遠傳電信の通信周波数
同じく大手キャリア台灣大哥大、遠傳電信の通信周波数(2023年8月確認)を記載しておきます。
台灣大哥大
4G : 2100(B1)/1800(B3)/700(B28) MHz
5G : 700(n28)/3500(n78)/28000(n257) MHz
遠傳電信
4G : 2100(B1)/1800(B3)/2600(B7)/700(B28)/2600(B38) MHz
5G : 2100(n1)/3500(n78)/28000(n257) MHz
実際に使ってみた
2023年7月、実際に現地で使用した結果を記載します。
空港でSIMを購入
大手キャリアのSIM(eSIM)は、台湾の空港で出国後すぐに購入できます。
中華電信のWebページでも、各空港での購入場所をまとめて記載しています。
(2023年8月確認時点では、)台湾桃園国際空港 (TPE)、台北松山空港 (TSA)、台中国際空港 (RMQ)、高雄国際空港 (KHH)と、台湾の主要国際空港を網羅している様です。
※深夜・早朝到着の場合には事前に下記ページで営業時間をご確認下さい
今回は松山空港のカウンターで購入しています(事前予約なし)。
モニタに表示されている金額も、Webで確認した金額と同様で安心。
※3日プランと5日プランの金額が同じですが、無料通話料金分が異なります
今回の滞在は4日間。eSIM、4Gを選択することは決めていました。「滞在4日間に対して3日、5日のどちらのプランを買うか……」と一瞬考えた後、よく見ると3日と5日のプランでは金額が同じで、無料通話の金額が異なるだけだと気づき、5日のプランを購入。金額は300台湾ドルなので、2023年8月時点でおよそ1,350円です。
カウンターに行き、「eSIM、4G、5days」と伝えると、すぐに理解してもらえました。
購入時、現地滞在先などの記載を求められるので、書類を準備しておくことをお勧めします。
書類を書いている間に、設定まで完了してくれていました(笑)
※KKday(海外のSIMや交通、現地アクティビティを安く購入できるページ。私も台湾高鐵に乗車する際に使用したことがあります)で受け取り空港を指定して予約もできる様です。
速度測定結果
……ということで、早速速度を確認。
松山国際空港
空港で購入した直後に測定しています。(平日昼間)
通信量無制限なので、遠慮なく繰り返し10回測定。
簡単にまとめると、次の通りです。
ダウンリンク(Mbps) | アップリンク(Mbps) | |
最低速度 | 48.35 | 11.61 |
最高速度 | 95.34 | 33.15 |
平均速度 | 76.43 | 25.75 |
不調な時もあるのですが、それでも携帯回線としては十分な速度ではないでしょうか。ほとんどの場合60Mbps以上出ています。
台北駅(台北車站)内
じゃあ、人が増えたらどうなるの……?ということで、台湾最大の駅、台北駅(台北車站)で測定。
測定日は休日で、催し物が行われていました。
ダウンリンク(Mbps) | アップリンク(Mbps) | |
最低速度 | 89.11 | 37.93 |
最高速度 | 225.25 | 44.63 |
平均速度 | 130.51 | 41.03 |
松山空港に比べて遅くなることを想定していたのですが、むしろかなり速くなりました。
西門町
ダメ押しに、台北の渋谷、原宿などと呼ばれることもある繁華街、西門町でも測定。
こちらは日曜日の夜9時台に測定。写真の様に人通りが多く、広場で大道芸をやっていて、立ち止まっている人も多い状態。
ダウンリンク(Mbps) | アップリンク(Mbps) | |
最低速度 | 51.52 | 22.96 |
最高速度 | 131.25 | 48.85 |
平均速度 | 98.74 | 40.56 |
台北駅よりは落ちますが、松山空港よりは速い結果になりました。これでも十分な速度ではないでしょうか。
通信量が増えても問題ないのか
テザリング含め通信量が増えた時に速度制限がかかっては意味がありません。
完璧な検証とは言えませんが、滞在中、テザリングを含め、できるだけ多くの通信を使う様に心がけてみました。
通信量を増やすために、PCで作業するときもカフェやホテルのWi-Fiは一切使用せず、テザリングのみ使用。
また、その際には、YouTubeで4K動画を流し続けましたが、特に途切れずに再生し続けられています。ちなみに、2023年8月確認時点で、YouTubeで4K UHD画質の動画を見るために推奨される持続的な速度は20Mbpsです。
結果的に、4日間で65GBを使用していますが、速度が低下したりする様な不便は一切感じませんでした。
それよりも、適当に選んだスピードテストアプリの通信量に驚き……
ということで、(公式に記載されてはいませんが)4Gプランであればテザリング無制限であると考えて良いのではないでしょうか。
まとめ
台湾で大手キャリア 中華電信のトラベラーズSIM(4G)を使用した結果をご報告しました。
事前の期待通り、通信量無制限 / テザリング無制限だった上、4Gでも予想以上に高速だったこと、予約不要で購入できたことで満足しています。
ホテルのWi-Fiが貧弱である可能性、ビジネスなどで確実/高速な通信環境を確保したい場合を考慮すると、少し高くても、大手キャリアのSIMを直接購入するメリットを感じました。
費用は5日間で300台湾ドル(2023年8月時点でおよそ1,350円)。
ホテルのWi-Fiが貧弱で使い物にならない可能性を考えると、個人的には高くない様に感じます。
今回、台湾1位の中華電信を使用していますが、2位、3位の台灣大哥大、遠傳電信でも大きく変わらない結果が出るのでは、と推察しています。
この3社であればトラベラーズSIMのプラン、金額は大差ない様です。
また、以前は旅行の度にSIMを入れ替えて使用していましたが、eSIMの利便性も実感。
SIMを入れ替えると、その間、日本で使用するときのSIMを紛失しそうで不安だったのですが、これが解消されました。
ということで、総合的に大満足。次回訪問時も使うと思います。